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岩浪弁護士事務所

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カテゴリー:法律
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契約法・初歩編 - Contract

アメリカは契約の国とも言われます。その理由は違う文化を持った移民たちが日々の暮らし、ビジネスをするうえで、契約という約束事をしておかないと、皆がばらばらの言動をしてしまい、生活やビジネスが成り立たないからだといいます。契約とは個人同士の取り決めごとで約束を破ったからと言って罪になるものではありません。約束をを破ること、つまり契約違反によって発生するのは賠償金支払いです。

では、この約束又は契約はどのように成り立つのでしょうか。例えばA さんが「私は○○をしますのであなたは××をしてください」とBさんに言った時、Bさんが「了解です。あなたが○○をするので、私は××をします」といえば契約成立で、Aさんは○○をする義務を、Bさんは××をする義務を負うことになります。その反対に、A さんが「私は○○をしますので、あなたは××をしてください」とBさんに言った時、Bさんが「私が△△をするので、××はあなたがしてください」と言えば契約不成立で、A さんもBさんも何かをする義務は発生しません。

よくある間違いは、口約束は契約ではないので、何かをする義務を負うものではないという考えです。口約束でもお互いが合意したという事実があれば契約成立です。口約束の場合、約束の内容が曖昧だったり、そんな約束をした覚えはないと主張されたりの水掛け論になってしまうので、裁判で勝つのが難しくなるということだけなのです。また、口約束をもとに起こす契約違反裁判の時効は、違反のあった時から2年ととても短いです。メモや覚書程度の物でも契約書がある時の契約違反裁判の時効は4年と少々長くなります。

先に記したように、契約違反のConsequenceは賠償金支払いです。その時には契約違反によって、違反をされた側が受けた被害を金銭に換算し賠償金とします。この世に一つしかないような物(例えば美術品。不動産は法律定義上この世に一つの物と考えられます)の売買では契約執行、つまり商品の受け渡し命令が出ます。ペットを家族の様に思っている人には酷なのですが、ペットは特に特徴のない品物とみられ、受け渡し命令ではなく、損害賠償の対象になります。

賠償金支払いですが、場合によっては契約違反をしたけれど賠償金の支払いをしなくてよいという状況もあり得ます。例えばAさんはBさんより卵を10個10ドルで買う約束をしたとします。Aさんの支払いの前に、Bさんは(理由はなんでも)卵を売るのをやめたと宣言し、A さんはCさんより卵10個を10ドルで買わなくてはならなくなったとします。卵の質がBさんの物とCさんの物と同じと仮定すると、Aさんは10ドルお金が減って、10個卵をもっています。これはBさんが契約を守ったときと同じ結果なので、Bさんは契約違反をしたけれど支払わなければならない賠償金はなしということになります。

また、契約法では被害にあった人が自分の被害を最小限にとどめる義務を負います。卵10個を10ドルで買うという例で、AさんがCさんから同じ値段買えるのにも関わらず、でなくDさんから卵10個を20ドルで買ったとします。Aさんが10ドル多く支払いをしたので、10ドルの損害賠償を求めると、BさんはCさんから被害額がない様に卵10個を求めることが出来たという反論ができ、裁判所は初めの例と同じく、Bさんは契約違反をしたけれど損害賠償の義務なしと判決を出します。

契約違反は罪でもなければ、道徳的に悪いことをするわけでもありません。賠償金を払えばそれでよいのです。では、XさんとYさんが10年間有効な契約をしたとします。5年たったところで、Yさんはこの契約関係を続けていくことで、一万ドルの損害がでるということに気が付きます。そして、契約破棄をした場合の損害賠償額は五千ドルだとします。このような状況だと、Yさんは契約破棄をして五千ドルの損害賠償金を払った方が損害を抑えられる「賢いビジネス判断」だと言わざるを得ません。勿論これは損害賠償額が明確に算出できるというのが前提で、契約違反を続ければきちんと賠償金を払ったとしても「社会的立場(信用)」に傷がつく覚悟がいることだと思いますが。


上記は一般論で、個々の状態では必ずしも適応されるものではありません。個々の状態については専門家にご相談されることをお勧めします。